苦しみの詰まった心を「食」で開く~佐藤初女さんの本を読んで
プチ奇跡、ってありますよね。
そのときに欲していたものが、ふとした偶然で手に入ることがある。
それはほんのちょっとしたもの。
何も考えず、本屋さんをウロウロしていたら、今まさに必要な言葉が書かれた本に巡り合うような。
まさにそんな体験をしました。
佐藤初女さんは、青森県に「森のイスキア」という”癒しの場”を主宰されていた方。
もちろん怪しい団体なんかではなくて……
心身ともに疲れ果て、癒しと救いを求めて訪れる人々を受け入れ、その人たちにおいしい食事(おにぎりを中心にした和食)を提供し、話し、寄り添うことで、再生のきっかけを与えてきた場所です。
佐藤初女さんと「森のイスキア」については、以下の記事が詳しいです。
森のイスキア 佐藤初女さんの一周忌に寄せて~森林セラピストとして受け継いでいきたいこと~|はこじょ森林セラピー®ラボ|女性のための森林浴総合情報サイト
2016年2月、94歳にてお亡くなりになりましたが、
「生きること」「食べること」についての素晴らしい記述や言葉が多く、たくさんの本を遺されています。
そのうちの一冊が、冒頭に挙げた本で、初女さんの「メッセージ集」になっています。
お名前を聞いたことはありましたが、読むのは初めて。
たまたま空き時間があり、立ち寄った書店で見かけて「あれ、この名前、聞いたことがあるな」と思い、手に取りました。
その日も摂食障害について頭を悩ませていて、苦しい気持ちを抱えていた私。
この言葉が目に飛び込んできて、書店で立ちすくんでしまいました。
心が苦しみで詰まっている人は
なかなか食べることができません。
それでもひとくち、ふたくちと食べ進み
”おいしい”と感じたとき、生きる力が湧いてきます。
おなかが満たされると、心の扉が開くのです。
自然に感謝の気持ちも湧いてきて
人になにかしてさしあげたくなってきます。
食をおろそかにすると生活が乱れて
すべてのいのちに鈍感になります。
食を大切にする人は、人をも大切にします。
ずっと苦しくて、辛くて、悲しくて、ごはんを食べていても「おいしい」より「太ってしまう」ことを気にしてばかりで、大好きだった「食事」が嫌で、自分が空腹になることすら腹立たしくて、喜怒哀楽の”喜楽”がわからなくなって、過食嘔吐するたびに自分が嫌いになって、もっともっと苦しくなってて。
でも、そんな気分じゃ、やっぱり食べられない。
だって私は、楽しさや喜びがわからない、鈍感な人間になっていたから。
佐藤初女さんの言葉からは「感謝」というキーワードが感じられます。
自分のすべてを受け入れ、すべてを赦し、すべてを愛し……
だからこそ、生きるもの、生かせてくださっているもの、生きるためにそばにあるものに感謝し、そのために生きたい、そのために食べたいと願う心があります。
生きることは、食べること。
当たり前のことが、見えなくなっていました。
力強くて優しい言葉に涙しながら、私は
●摂食障害になった自分と「闘う」のではなくて、受け入れる
●受け入れたうえで「より心地よく生きるために変わる」意識を持つ
ことにしました(本気でお酒を控える決意をしたのも、これがキッカケです)。
どうしても「摂食障害である私」が前面に立って物事を判断すると、しんどくて続かない。それが前面にいると、食べることも「摂食障害だから、これを食べねばならない」「摂食障害だから、お酒をやめねばならない」と、無理を強いることになる。
でもそれが「摂食障害だけど、心地よく生きたいんだもん」という気持ちに切り替わると、物事はずいぶん違って見えてくる。
心地よく過ごすためには、食べたくもないものを過食しないほうがいい。
心地よく過ごすためには、吐いて心と体へ負担をかけることは控えたい。
心地よく過ごすためには、そのとき「食べたい」と思うものを食べる。
心地よく過ごすためには、必要だと感じたら糖質だって、脂質だって摂る。
心地よく過ごすためには、無理やり「痩せたい心」を押さえつけなくていい。
心地よく過ごすためには、今の自分にフィットするダイエットを探し直す。
そして、心地よく過ごすためには、過食嘔吐したい心を無理やり抑え込まないこと。無理に蓋をして爆発させるくらいなら、たまには仕方ないと思う。それでも「週1回になった!」とか「月2回しかなかったな」とか、頻度が減ることは自信につながるので、そのための創意工夫は惜しまない。
そう思えたら心が軽くなり、かえって過食嘔吐したいと思う気持ちも軽減しました。
まだ一冊しか読んでいないのですが、もっと佐藤初女さんの言葉を聞きたくて、これからしばらく読みふけりそうです……
でも今はまだ、買ったばかりのこの本を大切に、何度も何度も読み返したいな。
いきなり一気に気持ちは切り替わらないので、心が揺れるたびに何度も読みたい。
お守りのような、一冊です。