回復のステップに必要な「気をそらす」こと
私が通う心療内科でおこなっているセラピーでは
「常に摂食障害であることに意識を向けず、ほかのことに夢中になって気をそらすうち、次第に『過食したい』という気持ちが薄れていく」
というのが目標になっています。
そして、この病気になってからさまざまな本や記事を読んできましたが、この「気をそらす」というのは、ひとつのキーワードとなっているように思います。
直接的に摂食障害のことを書いたものではなくても、多くの誘惑や禁断症状、鬱々とした気持ちなどから抜け出すために大切なのが「気をそらす」こと。
つまり「もっと大切な”ご褒美”のほうが、避けたいと思っている気がかりな対象よりも上位になる」ことが、抜け出すヒントになるようです。
たまたま見つけた記事で、興味深い内容のものがありました。
※「クーリエ・ジャポン」は会員制サイトなので有料記事ですが、途中までは無料で読めます(私は会員です)
〇1回目
〇2回目
書かれていることはシンプルで、以下のような内容です。
気にかけるべきことがあって、そのために行動すべきなのに、私たちはそうしません。それならば、いま現在の報酬になるものと関連づければよい──これが代替報酬です。
話者であるアリエリー教授はかつて、肝臓の病気で1年半もつらい投薬治療(ひどい副作用もあり)を続けたそうです。
でも彼は、見事にそれを乗り越えた。どうやって乗り越えたのか?
私は、自分のやる気を変える環境を「再設計」したのです。
私は自分自身と「取引」をしました。私は映画が大好きで、当時は時間が許す限り映画を観ていました。注射の日である月、水、金曜は朝一番にレンタルビデオ店へ行って、観たかったビデオを借り、1日自分のかばんの中に入れておきました。
そして、帰宅するなりビデオをセットして、自分に注射をし、再生ボタンを押していました。私の頭にあったのは、副作用でも注射でもなく、映画のことだったのです。
これを読んで「あっ!」と思いました。
以前、私が書いたこんな記事についてです。
最近、また「家で過ごしたい気持ち」が高まってきています。
その結果、外でひとり酒をすることが減って、お酒を飲みすぎなくなり、過食嘔吐の回数が減った(私の過食嘔吐はアルコールと結びついています)のですが……
「早く家に帰ってゆっくりしたい」と思えているのは、続きが気になる本の続きを読みたい、という気持ちからです。
あとは、ずっと気になっていた海外ドラマのDVDボックスを、大人買いもしました(笑)
それと、自宅で食事を作る楽しさを思い出したくて(かつては料理が大好きだった!)食材を送ってもらえる宅配サービスにも申し込みました。
お金がかかって大変ですが、今はこういう「摂食障害(お酒を飲んで、過食嘔吐したくなる気持ち)から気をそらす」ためのアイテムをせっせと集めています。
そして、少しずつですが、功を奏しつつあります。
これを「代替報酬」と呼ぶことは今回初めて知りましたが「やっていることは間違ってないんだ」と確信でき、ちょっとした自信につながりました。
一気に治すことは難しくても、ちょっとずつ「これでいいんだ」「これならやっていけるんだ」を積み重ねていくうち、次第に「変わってきた自分」に出会えるはず。
小さなハードルを少しずつ飛び越えながら……ね。